こんにちは、ゆるみみです。
最近どこの住宅メーカーでも全館空調を取り入れていますよね。
どの部屋も一定の温度に保たれて快適そう!
一見するとたしかに便利そうなんですが、デメリット含めて正しい知識も持っておかないと、
こんなはずじゃなかった・・・
と後悔するポイントにもなってしまうんです。
実は私たちも絶対に全館空調は採用しよう!と決めていたのですが、調べるうちに思っていた以上にデメリットも多く、最終的には全館空調を入れたい思いはなくなっていました。
今回はこのような私たちの経験をもとに、全館空調を入れるか迷ったときに知っておくべき事実を書いていきたいと思います。全館空調を検討されている方はぜひ読んでみてください!
全館空調との出会い
私たち夫婦は、結婚してすぐ仕事の都合でアメリカで1年半ほど暮らしていました。実はアメリカは「セントラルヒーティング」と言って、いわゆる全館空調システムが当たり前の文化です。
初めて一年中全館空調システムで過ごして私たちは感じました。
全館空調、快適すぎる・・・!
その後帰国して賃貸アパート暮らしとなりましたが、もちろん全館空調はありません。日本の厳しい暑さや寒さから、やっぱり全館空調は必要だと改めて実感しました。
このような経緯から、夫婦間では何の疑問もなく全館空調は必須アイテムという認識で家づくりを進めていました。こうして全館空調について設置するべく情報を収集しているうちに、実は大きなデメリットが潜んでいることを知ったのです。
各社の全館空調の特徴
デメリットの前に、まずは各社の全館空調についてご紹介したいと思います。私たちは積水ハウス・住友林業・ダイワハウスの3社を検討していたため、以下にその情報をまとめました。
積水ハウス/ エアシーズン | 住友林業/ エアドリームハイブリッド | ダイワハウス/ エアスイート | |
---|---|---|---|
機能 | 1台で冷暖房・加湿・除湿・換気を行えるが、加湿機能が弱い | 綺麗な空気が届けられる。一方加湿機能は追加料金。 | 各部屋のエアコンを分けて制御 |
価格 | 初期費用:約200万円 | 初期費用:約200~300万円 | 情報なし |
スペース | 約半畳必要 | 小屋裏収納または室内に機械室を作る(約半畳) | 各部屋にエアコンが必要 |
補足 | 保証期間:5年(他社は10年が多い) | 無垢材をフローリングに選ぶことが可能 |
積水ハウス エアシーズン
私も積水ハウスで家を建てていますが、そもそも全館空調を入れている人はあまり聞かない気がします。営業マンにもすすめられたことはありません。
特にこれといった強みもなく導入するお客さんも少ないが、ラインナップとしては揃えてあるという印象です。
- ・加湿機能が弱く乾燥しやすいというレビューが多い
- ・保証期間が5年。電化製品のため致命的
住友林業 エアドリームハイブリッド
こちらもあまり導入している人はいない気がします。
加湿機能や各部屋ごとに個別に温度設定できる魅力的な機能はすべて別料金。さらには1年ごとに数万円の定期点検を受ける必要があります。
トータルコストで考えると費用が大きく膨れ上がる可能性も
ダイワハウス エアスイート
ダイワハウスの全館空調は一般的なシステムとは異なり、1台大きな空調システムが取り付けられるのではなく、各部屋に全館空調用としてのエアコンの設置が必要となります。
トイレやお風呂などどこにいても快適なわけでなく、エアコン設置の部屋のみ快適
そのため、部屋のエアコンを別々にコントロールすることは可能ですが、個人的にはこれは全館空調というより普通のエアコンに近い印象を受けました。
全館空調に強いメーカーは?
本記事で紹介した3社では全館空調にあまり力を入れていないというのが正直なところです。もし全館空調にこだわりたいと思ったら、以下3社は定評がありおすすめです。
①三井ホーム
- 「Smart Breeze(スマート ブリーズ)」
- 高性能フィルターが備わっており、きれいな空気を送ってくれる。
- 業界で初めて加湿機能を採用。全館空調は空気が乾燥しやすいので加湿機能はポイント高。
- 天井吹き出しなのでデザインを害さない。床に吹き出し口があると、ゴミが入ったり家具を上に置けない。
②パナソニックホームズ
- 「エアロハス」
- 全館空調システムで初めて「省エネ大賞」を受賞。電気代は他社よりも安め。
- 部屋ごとに温度調節できる
- 天井吹き出しなのでデザインを害さない。
③セキスイハイム
- 「快適エアリー」
- 床下のダクトを使って吸排気を行うため、別途設備の配置は不要。
- 換気システムが付いており、高性能フィルターを通して有害物質を99.9%ブロック。
- 床に吹き出し口があり、かつ定期的なお手入れが必要なので要注意
全館空調のデメリット
ここまでは各社の全館空調について見てきましたが、本題である私たちが感じたデメリットについてお話したいと思います。
①費用が高い
費用はいろいろなところで叫ばれているのでご存知の方も多いとは思いますが、本当に高いです。
設置費用の目安は、住宅メーカーと家の大きさにもよりますが200~300万円ほどです。
一方通常のエアコンですと、例えば私たちの家だと30畳のリビングと5.5畳の寝室の2台で、工事費用込みで約40万でした。私たちの家はエアコンが少なくても快適に過ごせるよう間取りを工夫していますが、全部で3~4台というご家庭も多いのではないでしょうか。それでも100万円超えることは少ないと思います。
全館空調がない代わりに床暖房を入れることもあるかと思います。床暖房は一般的に1畳あたり5万円~10万円程度と言われています。私たちもリビングに約6畳の床暖房を導入しましたが、単純計算で30万~60万円となります。
エコキュートと合算見積りのため、床暖房単体の費用は不明です
我が家の冷暖房費用は70~100万円程度で全館空調の半額以下なのね!
さらに全館空調は導入しておしまいではありません。メーカーによる定期点検やフィルター交換などで年間3万円~5万円ほどかかるといわれています。エアコンだとメンテナンスに費用はほとんどかかりませんよね。
その上、空調換気システム本体は電化製品と同じなので一生モノではありません。耐用年数は約10年であり、その交換費用は約50万程度です。
でも電気代は安いってよく聞きませんか?
実際には、エアコンと同等かそれよりやや高くなるケースが多いようです。
もちろん、ここでお話している費用は家の大きさや各メーカーによっても差が出てくるので、全館空調を入れようと思ったらしっかりと住宅メーカーに費用感を相談してください。大切なのは、全館空調を持つなら初期費用に加えて維持コストがずっとかかり続けるという意識を持つことです。
②故障時
空調が1つの集中システムで管理されているので、故障時に冷暖房なしで生活することは避けられません。このデメリットも個人的には結構痛かったです。気候の悪い時期に故障しないとは限りませんからね。
実際に知人が故障と遭遇し、大変だった話を聞かされたなあ・・・
高いお金を払ってるのに不便になるのはつらい(泣)
わたしたちが出した答え
どうにもならない費用の高さと故障時の不便さから、全館空調を導入したい気持ちはいつしか消え、私たちは「全館空調は入れないけど快適な暮らしを手に入れる」という新たな野望を抱きます。
そんなこと可能なの!?
という声が聞こえてきそうですが、私は工夫次第で実現可能だと考えます。
高気密・高断熱住宅ならエアコンでも全館空調みたい?
私たちは、高気密・高断熱住宅なら全館空調のような設備の力に頼らず、家の本体性能だけである程度快適な一定の温度を保つことが可能だと考えました。
- 高気密な家:無駄な隙間がない家。冷暖房で快適な温度にした室内の空気は外に逃さず、外の寒さや暑さの影響に左右されにくくなる。
- 高断熱な家:壁の間に断熱材を用いたり断熱性の高い窓を採用した断熱性能の高い家。外の温度が壁や窓を通して伝わるのを防ぐ。
では高気密・高断熱住宅はどこのメーカーなら建てることができるのでしょうか。この高気密・高断熱を測る指標として有名なものにUa値やC値というものがあり、一般的にUa値/C値の大小から家の性能について議論がなされます。
- Ua値:住宅の内部から外部へ逃げる熱量を平均した値。簡単にいうと値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを示す。
- C値:家にどれくらいすき間があるかを示した値。簡単にいうと、C値が小さいほどすき間が少なく高気密な家だといえる。
ただし、高気密・高断熱住宅にはUa値○○以下、C値○○以下といった具体的な数値の定義はありません。つまり、「高気密な家」といってもそれぞれの感覚によって異なるわけで、これはメーカー側も同じことがいえ、「うちは高気密・高断熱住宅ですよ」とPRしていても実情はさまざまなので注意しましょう。
国が定めている断熱性能等級は存在するよ。けどどこからが「高」性能なのかはメーカーごとに基準が異なるので要注意!
ここで高気密・高断熱住宅と呼ぶにはUa値がどれくらいかとか、各メーカーでの値の比較を始めてしまうと本題から大きく反れてしまうので今回は割愛しますが、一般的には大手住宅メーカーより工務店のほうが注力していることが多いです。
私たちが契約した積水ハウスはどうだったかというと、「そこそこ良い」と判断しました。
もちろんもっと高気密・高断熱住宅に長けているメーカーもたくさんあります。ただ全てはバランスです。
私たちにとっては高気密・高断熱以上に優先度の高い条件があったので、積水ハウスの高気密・高断熱性能があれば自分たちの求める快適な暮らしにはある程度十分だと考えました。
間取りや設計での工夫
積水ハウスの技術でそこそこの高気密・高断熱性能を持った外の温度に左右されにくい家となるわけですが、それだけでなく間取りや設計上の工夫も詰め込みました。
まず間取りに関しては、平屋かつ大きなリビングをどの部屋にもアクセスしやすいような中心に配置しました。廊下はもちろん各部屋のドアを開ければ、リビングからエアコンの空気が流れ全館空調のような働きをしてくれます。
また、これも平屋ということを生かし、リビング南側の大開口窓から2.3mもの長さの軒を出しました。これにより夏は強い日差しが直接室内に入ることを妨げ、反対に冬は太陽の高度が下がるため軒があっても日光を効果的に取り入れることができます。
実は日射取得の工夫次第で数値以上に快適な生活が可能なんです
全館空調を導入しなくても工夫次第で快適な暮らしは実現できる!
全館空調もいいけど自分にとっての優先順位を見直してみよう
まとめ
私たちが全館空調をやめた経緯やデメリットについてお話してきましたがいかがでしたでしょうか。
空調システムは毎日の生活の質に大きく関わる部分なので、迷っている方も多いと思いますが、全館空調を選択すると得られるものも多い一方犠牲となるものも少なくありません。
私たちがそうだったように、全館空調がなくても工夫次第で快適な暮らしを手に入れている方もたくさんいます。大きな選択となるので、「全館空調なしでも快適な暮らしは可能そうか?」という目線で考えてみてもいいかもしれません。
本記事が、あなたの家づくりの検討のお役に立つことを願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!